どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)とは…生まれつき心臓に余分な電気の通り道(副伝導路)が存在することによって、発作性の頻脈(脈が非常に速くなる状態)を引き起こす不整脈性疾患です。この副伝導路により、心房から心室への電気信号が通常より速く伝わったり、心室から心房に逆流することで、心臓の電気系統が異常なループを形成し、発作的な頻脈を招きます。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・心臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、WPW症候群においては以下の通りです。
|先天的(生まれつき)の異常
胎児期の心臓発達過程で、副伝導路(Kent束と呼ばれる)が消えずに残存することが原因です。
|遺伝
遺伝的要素は少ないとされていますが、ごく稀に家族性に見られることもあります。
心筋構造に明らかな異常がない場合がほとんどです。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、WPW症候群においては個人差があり、主に以下のような発作性がみられます。
- 突発的な動悸
- めまい/ふらつき
- 胸痛
- 息切れ
- 失神 ※重症例より
心電図検査では、「デルタ波」と呼ばれる特有の波形所見がみられることが診断の手がかりになります。
幼児や乳児では「泣き止まない」「ミルクを飲まない」などの非特異的サインで発見されることもあります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、WPW症候群においては以下の通りです。
|薬物治療
薬物治療
発作性頻拍を抑える目的で抗不整脈薬(例:ベラパミル、プロパフェノン など)を使用することがあります。ただし、根治的ではありません。
|カテーテルアブレーション
カテーテルアブレーション
最も効果的で根治的治療とされます。
心臓内にカテーテルを挿入し、副伝導路に高周波電流を流して焼き切ります。成功率は非常に高く(90%以上)、再発率も低いのが特徴です。
|救急対応
救急対応
重篤な頻拍発作時には、迷走神経刺激(頸動脈マッサージ/冷水顔浸し)や電気的除細動(心臓に電気ショックを与える)が行われる場合があります。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、WPW症候群においては先天的な異常であるため、発症自体を予防する事は困難です。ただし、以下のような工夫で発作リスクを減らす事は可能です。
- 刺激物の過剰摂取を控える ※カフェイン/アルコール/エナジードリンク など
- 過度なストレスや睡眠不足を避ける
- 不整脈の前兆があれば早期に医療機関を受診
- 事前にカテーテルアブレーションを検討 ※リスクは高いです
おわりに
WPW症候群は、心臓に副伝導路という異常な電気経路が存在することにより、突発的な頻脈を引き起こす先天的な不整脈疾患です。予防自体は難しいものの、リスク管理と早期介入により、発作や合併症を十分に回避することが可能です。