どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
翼状肩甲骨(よくじょうけんこうこつ)とは…肩甲骨が正常な位置から浮き上がり、背中側で翼のように突出してしまう状態を指します。これは、肩甲骨を正しく安定させる筋肉の機能不全や神経障害によって引き起こされます。
医学的には「肩甲骨翼状変形」とも呼ばれ、見た目の変化だけでなく、腕の動きの制限や痛みを伴うこともあります。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・扁平骨疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、翼状肩甲骨においては以下の要因が関与していると考えられています。
|神経障害
神経障害
> 長胸神経(ちょうきょうしんけい)の損傷
長胸神経が損傷すると、肩甲骨を安定させる「前鋸筋(ぜんきょきん)」が正常に機能しなくなり、肩甲骨が浮き上がります。
外傷
- 交通事故
- 手術
- スポーツ中の強い衝撃
その他
- ウイルス感染
- 神経炎
> 副神経(ふくしんけい)の障害
副神経が損傷すると、僧帽筋(そうぼうきん)の機能が低下し、肩甲骨の安定性が失われます。
|筋力不足/不均衡
筋力不足/不均衡
前鋸筋/僧帽筋/菱形筋 など、肩甲骨を安定させる筋肉の弱化。反復運動や偏った筋トレによる、筋力バランスの崩れ。
|過度の負担
過度の負担
長時間の猫背や、デスクワークによる肩甲骨周辺の筋力低下。過度なスポーツ(野球/テニス/水泳 など)による、肩甲骨周囲の過剰な負荷。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、翼状肩甲骨においては、以下のようなものがあります。
|視覚的異常
肩甲骨が突出し、背中が非対称に見える。
|腕の可動域の制限
腕を上げたり、後ろに回したりする動作が困難になる。
|痛み/違和感
肩・背中・首 にかけての痛みやだるさ。
|筋力低下
物を持つ・押す・引く 動作が難しくなる。
|日常生活の支障
長時間のデスクワークや、スポーツが困難になる。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、翼状肩甲骨においては以下のように原因や重症度によって異なります。
|保存療法
保存療法
> 筋力トレーニング
前鋸筋の強化
- プッシュアッププラス
- バンデッドプル
僧帽筋/菱形筋 の強化
- ローイング
- シュラッグ
> ストレッチ
胸筋や肩甲骨周囲の柔軟性を高める。
> 神経リハビリ
長胸神経の回復を促すリハビリをおこなう。
|装具療法
装具療法
肩甲骨を安定させる為の、サポーターやテーピングを使用する。
|神経ブロック療法
神経ブロック療法
神経の炎症や痛みが強い場合、神経ブロック注射を行うこともある。
|手術(重度の場合)
手術(重度の場合)
神経損傷が回復しない場合、神経移植や筋移行術を行うことがある。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、翼状肩甲骨においては以下のような対策によって、リスクを下げる可能性があります。
|正しい姿勢
正しい姿勢
猫背/巻き肩 にならないように意識する。デスクワークでは定期的に肩甲骨を動かす。
|筋力トレーニング
筋力トレーニング
> 前鋸筋強化
- プッシュアッププラス
- ウォールプッシュアップ
> 肩甲骨の安定化
- ローイング
- シュラッグ
- バンドプルアパート
|ストレッチ/柔軟
ストレッチ/柔軟
大胸筋や僧帽筋のストレッチ。肩甲骨を意識した可動域の確保など。
|適切な負荷管理
適切な負荷管理
過度なトレーニングや、繰り返し動作の負担を調整する。
|神経/筋肉 のケア
神経/筋肉 のケア
マッサージや筋膜リリースで、筋肉の緊張を和らげる。定期的なストレッチや、運動習慣を身につける。
おわりに
翼状肩甲骨は、神経障害や筋力不足によって肩甲骨が異常に突出する状態です。症状には肩の可動域制限や痛みがあり、リハビリや筋力トレーニングが主な治療法となります。予防のためには、正しい姿勢を保ち、肩甲骨周囲の筋力強化とストレッチを継続することが重要です。