どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
三叉神経痛(さんさしんけいつう)とは…顔の感覚を司る三叉神経が何らかの理由で刺激され、突発的な激しい痛みを引き起こす病気です。発作的な痛みが特徴で、「電気が走るような痛み」や「ナイフで切られるような鋭い痛み」が顔の一部に起こります。特に50歳以上の人に多く見られ、女性にやや多い傾向があります。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・感覚神経疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、三叉神経痛については以下のものがあります。
|血管による圧迫
血管による圧迫
多くのケースで、脳内の血管が三叉神経を圧迫することで、神経が過敏になり痛みが生じます。加齢により血管が蛇行し、神経に接触することで発症することがあります。(例:特発性三叉神経痛)
|神経の損傷
神経の損傷
以下のような疾患が原因で、三叉神経が損傷し、痛みを引き起こす事があります。
> 脳腫瘍
特に脳幹付近の腫瘍のこと。
> 多発性硬化症
神経の髄鞘が破壊される病気。
> 帯状疱疹後神経痛
ヘルペスウイルスによる神経の損傷。
|その他
その他
- 外傷(事故や手術による神経損傷)
- 血管異常
- 動静脈奇形
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、三叉神経痛においては「眼神経」「上顎神経」「下顎神経」の3つの枝に分かれており、これらの領域のいずれかに以下のような症状が現れます。
- 突発的な激痛(数秒~数十秒続く)
- 顔の片側だけに起こる(両側性は稀)
- 食事/会話/歯磨き/洗顔/風に当たる などの刺激で痛みが誘発される
- 痛みが強いため日常生活に支障をきたす事もある
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、三叉神経痛においては以下のように薬物療法から外科的治療まで様々です。
|薬物療法
薬物療法
> カルバマゼピン
抗てんかん薬で、神経の過剰な興奮を抑える効果があります。
> ガバペンチン/プレガバリン
神経障害性疼痛に使われる薬で、痛みの緩和に有効です。
> バクロフェン
筋弛緩薬としても使われる薬で、カルバマゼピンと併用する事があります。
|神経ブロック療法
神経ブロック療法
> アルコールブロック
痛みを引き起こす神経を一時的に麻痺させる。
> 神経ブロック
局所麻酔薬を用いて即効性はあるが、効果は一時的。
|外科的治療
外科的治療
> 微小血管減圧術(MVD)
三叉神経を圧迫している血管を移動させる手術。根治的な治療として有効。
> ガンマナイフ治療
放射線を照射し、神経の過剰な興奮を抑える。手術より低侵襲だが、効果が出るまで数週間~数ヶ月かかることがある。
> 経皮的手技
神経を部分的に破壊し、痛みを軽減する。(バルーン圧迫法/高周波熱凝固法など)
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、三叉神経痛においては完全に予防することは難しいですが、以下のようにリスクを減らすための対策は可能です。
|血管の健康
血管の健康
|高血圧/動脈硬化
塩分/脂質 を控えて適度な運動をする。
|血管の柔軟性
ストレッチやマッサージ、温かい飲み物を摂取する。
|神経の炎症
神経の炎症
|帯状疱疹の予防接種
帯状疱疹後神経痛を防ぐ。
|免疫力の向上
バランスの取れた食事、十分な睡眠の確保。
|ストレス管理
ストレス管理
ストレスが神経過敏を引き起こす事があるため、リラックスできる時間を確保する。ヨガや瞑想、深呼吸を取り入れる。
おわりに
三叉神経痛は、顔に激しい痛みを引き起こす病気で、血管による神経圧迫が主な原因とされています。もし、顔の片側に突発的な鋭い痛みを感じた場合は、早めに神経内科や脳神経外科を受診することをおすすめします。