どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
椎間板(ついかんばん)ヘルニアとは…脊椎(背骨)の間にあるクッションの役割をする「椎間板」が何らかの原因で変性し、本来の位置からはみ出すことで神経を圧迫する疾患です。これにより、痛み/しびれ/筋力低下 などの症状が現れます。特に腰椎(腰の部分)や頚椎(首の部分)で発生することが多く、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・不規則骨疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、椎間板ヘルニアにおいては以下の通りです。
|加齢による椎間板の劣化
椎間板は年齢とともに水分量が減少して弾力性を失います。その結果、亀裂が入りやすくなり髄核(椎間板の中心部)が飛び出しやすくなります。
|姿勢の悪さ
長時間の 猫背/前かがみの姿勢/悪い座り方 が続くと椎間板に過剰な負担がかかり、ヘルニアを引き起こしやすくなります。
|重い物の持ち運び
急な動作や不適切な持ち上げ方(腰を曲げて持ち上げる など)は、椎間板に強い圧力をかけてヘルニアの原因になります。
|運動不足/筋力低下
腹筋/背筋 が弱いと椎間板にかかる負担が大きくなり、ヘルニアが発生しやすくなります。
|外傷/突発的な衝撃
交通事故/スポーツ での強い衝撃が、椎間板の変性を引き起こすこともあります。
|遺伝的要因
椎間板の 構造/耐久性 に遺伝的な要素が関与していることもあります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、椎間板ヘルニアにおいては以下のように部位によって症状が異なります。
|腰椎椎間板ヘルニア(腰のヘルニア)
腰椎椎間板ヘルニア(腰のヘルニア)
> 腰痛
慢性的な鈍痛/急な強い痛み が現れる。
> 坐骨神経痛
お尻から 太もも/ふくらはぎ/足先 にかけての痛みやしびれ。
> 筋力低下
足の力が入りにくくなる。
※歩行困難になることも
> 排尿/排便障害(重症の場合)
膀胱や腸の神経が圧迫されると、尿や便のコントロールが難しくなる。
|頚椎椎間板ヘルニア(首のヘルニア)
頚椎椎間板ヘルニア(首のヘルニア)
- 首/肩 の痛み
- 腕/指 の痺れ又は痛み
- 手の細かい動作が難しくなる ※ボタンを掛ける/字を書くのが困難 など
- めまい/頭痛 ※神経の圧迫により自律神経が影響を受ける場合
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、椎間板ヘルニアにおいては以下の方法があります。
|保存療法(手術をせずに治す方法)
保存療法(手術をせずに治す方法)
軽度から中等度のヘルニアでは保存療法が選択されます。
> 薬物療法
消炎鎮痛剤(NSAIDs)/筋弛緩剤/神経ブロック注射 などを使用。
> 理学療法(リハビリ)
ストレッチ/筋力トレーニング を行い負担を軽減。
> 装具療法
腰痛ベルト/コルセット で腰をサポートして痛みを和らげる。
> 温熱/電気治療
血流を改善して痛みを軽減する。
|手術療法(重症例)
手術療法(重症例)
保存療法で改善しない場合/神経の圧迫が強く日常生活に支障が出る場合 に手術が検討されます。
> ヘルニア摘出術
飛び出した椎間板の一部を取り除く。
> 内視鏡手術(MED)
小さな傷口で行う低侵襲手術。
> レーザー治療(PLDD)
レーザーで髄核を蒸散させて圧力を軽減。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、椎間板ヘルニアにおいては以下のように日常生活の中で予防することが重要です。
|正しい姿勢を保つ
正しい姿勢を保つ
座るときは背筋を伸ばして、腰を支えるクッションを使用する。長時間のデスクワークでは、1時間に1回は立ち上がって軽くストレッチをする。
|適度な運動
適度な運動
- 体幹トレーニングを行い腰の負担を減らす ※腹筋/背筋
- ストレッチを行い柔軟性を高める ※ハムストリングス/腰回り
- ウォーキング/水泳 などの低負荷な運動を習慣化する
|体の使い方
体の使い方
重い物を持つときは、腰ではなく膝を曲げて持ち上げる。
※急な動作を避ける
|体重管理をする
体重管理をする
肥満になると腰椎に負担がかかりやすくなるため、適正体重を維持する。
|十分な休息+ストレス管理
十分な休息+ストレス管理
ストレスが筋肉の緊張を引き起こし腰痛の原因となるため、リラックスできる時間を確保する。睡眠時の姿勢(硬すぎず柔らかすぎない寝具を使用)にも気をつける。
おわりに
椎間板ヘルニアは 姿勢の悪さ/加齢/過度な負担 などが原因で発症して、痛み/しびれ/運動障害 を引き起こします。治療は保存療法(薬/リハビリ)を基本とし、重症の場合は手術が必要になります。予防のためには 正しい姿勢+適度な運動+体重管理 が重要です。普段の生活習慣を見直し、椎間板への負担を減らすことがヘルニアを防ぐ鍵となります。