どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
原発性硬化性胆管炎(Primary Sclerosing Cholangitis:PSC)とは…肝内および肝外の胆管が慢性的に炎症を起こし、繊維化(硬くなる)して狭くなっていく進行性の胆道疾患です。胆汁の流れが妨げられることで胆汁うっ滞が生じ、最終的には 胆管の閉塞/胆汁性肝硬変/肝不全 へと進行、主な特徴は以下になります。
- 難治性で完治は困難
- 進行は緩やかだが不可逆的
- 多くの場合、炎症性腸疾患(特に潰瘍性大腸炎)を合併
ヤマケンこの記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・肝臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、原発性硬化性胆管炎において正確には不明ですが、以下の因子が関与していると考えられています。
|自己免疫異常
自己免疫反応により胆管が攻撃される。
|遺伝的素因
HLA遺伝子との関連。(家族歴あり)
|環境因子
腸内細菌叢の異常や感染症との関連が疑われている。
|合併疾患
潰瘍性大腸炎との関連が強く、70%以上で併存する。
原発性胆汁性胆管炎(PBC)と混同しやすいが、PSCは男性に多く若年発症が多い点で異なる。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、原発性硬化性胆管炎において初期は無症状のことも多く、以下のような症状が進行に伴って現れます。
- 全身倦怠感
- 皮膚や眼の黄疸(黄染)
- かゆみ(掻痒感)
- 右上腹部の 痛み/不快感
- 発熱(胆管炎の合併時)
- 体重減少
- 脂肪便/下痢
肝硬変に進行すると 腹水/出血傾向/意識障害 などの症状が出る。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、原発性硬化性胆管炎において根本的な治療法は存在せず、以下の 症状緩和/進行抑制/合併症 の管理が中心です。
|薬物療法
ウルソデオキシコール酸(UDCA)で進行を抑制する。※効果は限定的
|内視鏡的治療
胆管拡張/ドレナージ の狭窄部の拡張やステント留置 など。
|感染対策
胆管炎併発時には抗菌薬を投与する。
|症状緩和
痒みには 抗ヒスタミン薬/コレスチラミン を服用する。
|肝移植
重度の肝不全/難治性胆管炎/胆道がん併発時 に適応される唯一の根治療法になります。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、原発性硬化性胆管炎において明確な予防法は確立されていませんが、以下の工夫が進行予防や発症リスク軽減に役立つとされています。
- 炎症性腸疾患の適切な管理(潰瘍性大腸炎 など)
- 定期的な 肝機能検査/画像検査
- 胆道系がん(胆管がん)の早期発見スクリーニング
- 自己免疫疾患の 診断/治療歴 を考慮した医療連携
- 過剰飲酒/肝毒性薬剤 の回避
おわりに
原発性硬化性胆管炎(PSC)は、原因不明の自己免疫的な胆管炎症と硬化を特徴とする進行性疾患であり、胆汁の流れが障害されることで肝機能障害から肝硬変へと至る重大な疾患です。医学の進歩により今後『新たな治療法』が開発される可能性があるため、専門医の継続的なフォローアップが重要です。

