どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary Cholangitis:PBC)とは…自己免疫性の慢性肝疾患で、肝臓内の小さな胆管(細胆管)が炎症を起こし次第に破壊されていく病気です。胆管が障害されることで胆汁の流れが滞り、肝臓に胆汁がたまって炎症や線維化(肝硬変)へと進行することがあります。
ヤマケンこの記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・肝臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、原発性胆汁性胆管炎において正確には不明ですが、次のような自己免疫的要因と環境的因子が関係すると考えられています。
|自己免疫反応
体内の免疫系が誤って自己の細胆管を攻撃。
|遺伝的素因
特定のHLA遺伝子との関連がある。
|環境因子
感染症/化学物質/喫煙 などの誘因が関与する可能性。
|性差
圧倒的に女性(特に40〜60歳代)に多い。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、原発性胆汁性胆管炎において初期は無症状のこともありますが、進行に伴って以下のような症状が現れます。
- 疲労感(倦怠感): ※非常に頻度が高い
- 皮膚のかゆみ(掻痒感)
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 右上腹部の 違和感/痛み
- 脂肪便/下痢
- 骨粗鬆症 ※胆汁の流れが悪くなることで脂溶性ビタミンの吸収が阻害されるため
長期的には 肝硬変/門脈圧亢進症/肝不全 に進行することがあります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、原発性胆汁性胆管炎において根治療法はありませんが、以下のように進行を抑える治療が中心です。
|薬物療法
薬物療法
> ウルソデオキシコール酸(UDCA)
胆汁の流れを改善し、肝機能を安定させる標準薬。
> オベチコール酸(OCA)
UDCAで効果不十分な場合に追加投与する。
> かゆみに対する対症療法
コレスチラミンや抗ヒスタミン薬。
> ビタミン補充
脂溶性ビタミン(A/D/E/K)の補給が必要なこともある。
|肝移植
肝移植
進行して 肝硬変/肝不全 に至った場合には肝移植が唯一の根本治療になります。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、原発性胆汁性胆管炎においては現時点で発症自体を完全に防ぐ方法は確立されていませんが、以下のような工夫がリスク軽減につながる可能性があります。
|禁煙
喫煙が自己免疫疾患の誘因となることがある。
|感染症
自己免疫応答を誘導する可能性のある病原体の回避。
|化学物質
有機溶剤や防腐剤などとの接触を避ける。
|定期検診
家族歴がある場合は、早期発見が重要になります。
おわりに
原発性胆汁性胆管炎は、肝内の胆汁流出障害による慢性進行性肝疾患であり、主に自己免疫異常が関与しています。自己免疫性疾患の一つとして、正しい理解と継続的な医療管理が重要な疾患です。

