どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
:この記事は約8分で読めます
どんな病気?
門脈血栓症(もんみゃくけっせんしょう)とは…肝臓へ血液を送る重要な血管である門脈(門脈系)に血栓(血のかたまり)ができ、血流が妨げられる病気です。これにより肝臓への血流が減少または遮断され、肝機能の低下や消化管からの出血、腹水の発生などを引き起こすことがあります。
急性型と慢性型があり急性では突然の腹痛などの症状、慢性では静かに進行する事もあります。
ヤマケンこの記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・肝臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、門脈血栓症においては以下のように分類されます。
|肝疾患
肝疾患
肝硬変(肝臓の線維化による血流障害)や、肝細胞がん/肝門部の腫瘍 による圧迫。
|血液の凝固異常
血液の凝固異常
- 抗リン脂質抗体症候群
- フィブリノゲン異常症
|外的要因や侵襲
外的要因や侵襲
- 腹部手術や外傷後
- カテーテル留置や内視鏡的手技による損傷
|炎症性疾患
炎症性疾患
- 膵炎
- 虫垂炎
- 腸炎
上記などの腹部内炎症が波及することで、発症することもあります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、門脈血栓症においては以下のように急性型と慢性型で異なります。
|急性門脈血栓症
急性門脈血栓症
- 突然の腹痛(特に右上腹部や心窩部)
- 腹部膨満感/嘔吐
- 発熱
- 下痢/血便(腸管虚血が起きている場合)
|慢性門脈血栓症
慢性門脈血栓症
- 自覚症状が乏しいこともある
- 腹水(お腹に水がたまる)
- 脾腫(脾臓が腫れる)
- 食道静脈瘤/胃静脈瘤(これが破裂すると 吐血/下血)
- 肝不全症状(黄疸/倦怠感 など)
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、門脈血栓症においては原因や重症度、急性/慢性 別に応じた治療が行われ以下になります。
|抗凝固療法
抗凝固療法
急性期にはヘパリンやワルファリン、DOAC(直接作用型経口抗凝固薬)で血栓の進展を防ぎます。慢性型でも再発予防に、抗凝固薬を継続的に使用する。
|血栓溶解療法
血栓溶解療法
カテーテルを用いて血栓を溶かす処置。(ただし適応は限定的)
|原因疾患の治療
原因疾患の治療
- 肝硬変や腫瘍の管理
- 骨髄増殖性疾患の治療
|合併症対策
合併症対策
食道/胃静脈瘤 に対して内視鏡的硬化療法やバンディング。(結紮術)
腹水に対しては 利尿薬/アルブミン補充 。
|TIPS
TIPS
門脈圧を下げる目的で一部の患者に実施される特殊な血流バイパス手術。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、門脈血栓症においては原因疾患の管理と生活習慣の改善が重要で、以下になります。
|基礎疾患のコントロール
基礎疾患のコントロール
|生活習慣の改善
生活習慣の改善
- 禁酒(特に肝疾患のある人)
- 栄養バランスのとれた食事
- 適度な運動(静脈うっ滞の予防)
|術後/長期安静時 の対策
術後/長期安静時 の対策
- 弾性ストッキングの着用
- こまめな下肢運動
- 抗凝固薬の予防投与(ハイリスク例)
おわりに
門脈血栓症は、命にかかわる 肝臓/消化器系 の血流障害を引き起こす疾患であり、早期発見と適切な治療が鍵となります。基礎疾患の管理と定期的な医療チェックを欠かさず、早期対応を行うことが予後改善に繋がります。

