どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
多脾症(たひしょう)とは…通常1つしか存在しない脾臓が複数存在する先天性異常です。複数の小さな脾臓(副脾)が存在し、それが正常脾と同様の機能を持っている事もあります。
これは「内臓錯位症候群(heterotaxy syndrome)」の一種で、特に左側優位型(左心房用の構造)に分類されることが多いです。脾臓以外にも、心臓/大血管/腸 などにも奇形を伴うことがあります。
ヤマケンこの記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・脾臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、多脾症においては先天性(生まれつき)の疾患であり胎児期の臓器形成異常が原因とされています。具体的な発症メカニズムは完全には解明されていませんが、以下が関連すると考えられています。
- 遺伝子の異常 ※ ZIC3/LEFTY/NODAL などの内臓左右非対称性決定に関与する遺伝子
- 胎生初期の左右軸形成異常
- 環境因子や妊娠中の母体状態(詳細は不明)
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、多脾症においてそのものによる症状は乏しいですが、伴う他の奇形や合併症によって症状が現れます。代表的なものは以下の通りです。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、多脾症において治療することはありませんが、合併する異常や症状に対して以下のような 対症的治療/手術 が行われます。
- 心臓奇形に対する外科手術
- 腸回転異常の整復術(Ladd手術 など)
- 感染予防のためのワクチン接種(肺炎球菌/インフルエンザ菌 など)
- 感染時の抗菌薬投与
また、定期的なフォローアップにより臓器機能や成長の管理が必要です。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、多脾症においては先天性の疾患であり、現在のところ明確な予防方法は存在しません。ただし、妊娠中に以下のような注意を払う事でリスク低減が期待される場合があります。
- 妊娠前/妊娠中 の葉酸摂取
- 薬物/アルコール/喫煙 の制限
- 母体の感染症予防(風疹/サイトメガロウイルス など)
- 遺伝カウンセリング(家族歴がある場合)
おわりに
多脾症は複数の脾臓が形成される希少な先天性異常であり、単独では無症状のこともありますが、重篤な心疾患や消化管奇形などを合併する場合が多いため、早期診断と専門的管理が不可欠です。近年の医療技術の進歩により早期発見と適切な 外科的/内科的 治療により、予後の改善が期待できる疾患となっています。

