どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
骨肉腫(こつにくしゅ)とは…主に骨に発生する悪性腫瘍(がん)の一種です。特に成長期の子どもや若年層(10代)に多く発症し、長管骨(大腿骨/脛骨/上腕骨 など)の骨幹端部に好発します。
骨肉腫は骨を形成する細胞(骨芽細胞)ががん化することで発生し、進行が早く周囲の組織や、遠隔の臓器(特に肺)に転移しやすい特徴があります。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・含気骨疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、骨肉腫においては明確に解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
|遺伝的要因
遺伝的要因
RB1遺伝子や、TP53遺伝子の異常が関与している可能性が示唆されています。これらの遺伝子はガン抑制に関与しており、変異するとガン細胞が増殖しやすくなります。
家族性網膜芽細胞腫(遺伝性の眼のガン)と関連があるとされています。
|成長期の影響
成長期の影響
骨肉腫は成長期に多く発症することから、急激な骨の成長が影響している可能性があります。
成長ホルモンの影響や、骨の細胞分裂の活発化がリスクを高めると考えられています。
|放射線被曝
放射線被曝
過去に放射線治療を受けたことがある人は、二次ガンとして骨肉腫を発症するリスクが高まると報告されています。
|環境因子
環境因子
一部の研究では、有害化学物質やウイルス感染が関与している可能性が指摘されていますが、明確な証拠はありません。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、骨肉腫においては初期段階で目立ちにくい事が多く、進行するにつれて以下の症状が現れます。
|骨/関節 の痛み
初期には運動時に痛みを感じることが多く、進行すると安静時でも痛みが続くようになります。夜間の痛みが増すこともあります。
|腫れ/しこり
患部の皮膚の下に腫瘤(しこり)が触れるようになる事があります。炎症を伴う場合もあります。
|四肢の可動域制限
腫瘍が大きくなることで、関節の動きが制限されることがあります。
|骨折(病的骨折)
腫瘍が骨を脆弱にするため、通常では折れにくいような軽い衝撃で、骨折することがあります。
|全身症状(進行時)
進行すると、体重減少や倦怠感などの全身症状が現れることがあります。肺への転移が進むと呼吸困難を引き起こすこともある。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、骨肉腫においては患者の 年齢/腫瘍の進行度/転移の有無 によって異なりますが、主に以下の方法が用いられます。
|化学療法(抗がん剤治療)
化学療法(抗がん剤治療)
> ネオアジュバント化学療法
手術前に抗がん剤を投与し、腫瘍を縮小させる事で手術の成功率を高めます。
> アジュバント化学療法
手術後に抗がん剤を使用し、残存がん細胞を排除し再発を防ぎます。
|手術(外科的切除)
手術(外科的切除)
> 患肢温存術
近年では腫瘍を取り除いた後に、人工関節や骨移植を用いて患肢を温存する手術が一般的です。
> 断肢術(切断術)
腫瘍が広範囲に広がっている場合や 神経/血管 に大きな影響を与えている場合は、患肢を切断する事もあります。
|放射線治療
放射線治療
骨肉腫は放射線に対する感受性が低いため、通常は使用されませんが、手術が困難な場合や、腫瘍が 再発/転移 した場合に、補助的に行われる事があります。
|免疫/分子標的
免疫/分子標的
近年、骨肉腫に対する免疫チェックポイント阻害剤や、分子標的薬の研究が進められていますが、まだ標準治療には至っていません。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、骨肉腫においては完全に予防する確実な方法は確立されていませんが、以下のような対策がリスクを低減する可能性があります。
|生活習慣
生活習慣
栄養バランスのとれた食事を摂り、免疫力を高めることが重要です。特にビタミンDやカルシウムを適切に摂取することで、骨の健康を維持できます。
|放射線被曝の回避
放射線被曝の回避
不必要な放射線被曝を避けることが重要です。特に過去放射線治療を受けた人は、定期的な検診を受けることが推奨されます。
|早期発見/定期検診
早期発見/定期検診
骨肉腫は進行が速いため、早期発見が治療成功の鍵となります。骨の痛みや腫れが長引く場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
|遺伝的リスク
遺伝的リスク
家族に骨肉腫や遺伝性腫瘍(網膜芽細胞腫 など)がある場合、遺伝カウンセリングを受けることでリスクを把握し、適切な対策をとる事ができます。
おわりに
骨肉腫は主に成長期の若年層に発症する悪性骨腫瘍であり、早期発見/治療 が非常に重要です。現在の医学では確実な予防法はありませんが、健康的な生活習慣を維持し異変を感じた際には、早めに専門医を受診することが、リスクを最小限に抑える鍵となります。