どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん:Irritable Bowel Syndrome=IBS)とは…腸に明らかな器質的 異常/炎症 が見られないにもかかわらず、慢性的または再発性の腹痛や不快感と、それに関連する排便習慣の異常を特徴とする機能性消化管障害です。症状は長期間続くことがあり、患者の生活の質に影響を与えることがあります。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・大腸疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、IBSにおいて正確な原因は完全に解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
|腸脳相関の異常
腸脳相関の異常
腸と脳のコミュニケーションの不調により、腸の運動や感覚が過敏になるとされています。
|腸内フローラの変化
腸内フローラの変化
腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れることで、腸の働きに影響を及ぼすことがあります。
|ストレスや心理的要因
ストレスや心理的要因
精神的なストレス/不安 などの抑うつが症状を引き起こしたり、悪化させたりすることが知られています。
|食生活
食生活
特定の食品(脂肪分が多いもの/乳製品/炭酸飲料 など)が腸を刺激して症状を誘発することがあります。
|感染後IBS
感染後IBS
腸の感染症を経験した後にIBSを発症するケースがあります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、IBSにおいては人によって異なりますが主に以下が挙げられます。
|腹痛または腹部の不快感
腹痛または腹部の不快感
排便後に軽減することが多いが持続的に感じることもあります。
|排便の異常
排便の異常
- 下痢型(IBS-D):頻繁な水様便
- 便秘型(IBS-C):排便回数が少なく硬い便
- 混合型(IBS-M):下痢と便秘が交互に現れる
|ガスや膨満感
ガスや膨満感
腸内にガスが溜まりやすく、腹部の張りを感じることがあります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、IBSにおいては症状の種類や重症度に応じて個別に行われ、以下が主な方法です。
|薬物療法
薬物療法
- 下痢型には止瀉薬を使用する
- 便秘型には緩下剤を使用する
- 痛み/不快感 には抗けいれん薬が処方される
- 場合によっては 抗うつ薬/抗不安薬 も有効
|食事療法
食事療法
> FODMAP制限
発酵しやすい糖質の摂取を制限することで、症状を軽減して食物繊維の摂取バランスを調整します。
※便秘型には増やす/下痢型には控える
|心理療法
心理療法
認知行動療法(CBT)やマインドフルネスを通じ、ストレスを管理します。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、IBSにおいて発症を完全に防ぐ方法は明確にありませんが、リスクを減らすために以下の対策が有効とされています。
|腸内環境のケア
腸内環境のケア
発酵食品やプロバイオティクスを摂取することで、腸内フローラを健康に保つことが推奨されます。
|ストレス管理
ストレス管理
リラクゼーション法や瞑想を取り入れることで、ストレスを軽減します。
|健康的な食生活
健康的な食生活
- バランスの良い食事を心がけ刺激性のある食品は控える ※脂肪分/アルコール/カフェイン など
- 水分を適切に摂取する
|規則正しい生活リズム
規則正しい生活リズム
不規則な生活は腸の働きを乱す可能性があります。
おわりに
過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、日常生活に大きな影響を与えることがあります。適切な治療や生活習慣の見直しを通じて症状をコントロールし、快適な生活を送ることが可能です。自分の症状や原因をよく理解し、医師や専門家と相談しながら対策を進めることが重要です。