どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN:Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm)とは…膵臓の膵管内に発生する粘液を産生する腫瘍で、乳頭状に増殖する腫瘍細胞が粘液を分泌し、膵管を拡張させるのが特徴です。
良性から悪性までの広いスペクトラムを持ち、進行すると膵臓がんに移行する可能性がある「前がん病変」として注目されています。
- 主膵管型(Main Duct Type)
- 分枝型(Branch Duct Type)
- 混合型(Mixed Type)
上記に分類され、主膵管型と混合型は悪性化のリスクが高いとされます。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・膵臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、IPMNにおいて明確には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。
|加齢
50代以上に多く、加齢による細胞の変性が関与する。
|喫煙歴
膵臓がん同様、喫煙者に多い傾向があります。
|慢性膵炎
慢性的な炎症が変異リスクを高めることも。
|家族歴
膵がん/IPMN の家族歴がある場合、発症リスクが上昇します。
|遺伝子変異
GNAS/KRAS などの遺伝子異常が報告されている。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、IPMNにおいて多くは無症状で偶然発見されますが、以下のような症状が出る場合もあります。
- 上腹部/背中 の鈍い痛み
- 体重減少/食欲不振
- 膵炎様症状(膵管が粘液で閉塞することで)
- 糖尿病の悪化(膵内分泌機能の障害)
- 黄疸(膵頭部病変で胆管圧迫時)
症状が現れた場合、すでに進行していたり悪性化の兆候である可能性もあります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、IPMNにおいては腫瘍の タイプ/大きさ/場所/悪性の疑い などに応じて選択され、以下になります。
|経過観察(Follow-up)
経過観察(Follow-up)
分枝型で 3cm未満/壁在結節なし/症状なし の場合は定期的な画像検査で経過観察。 MRIやEUS(超音波内視鏡)による6ヶ月〜1年ごとの追跡が推奨されている。
|外科的切除(手術)
外科的切除(手術)
以下の条件に該当する場合は手術を検討する。
- 主膵管型または混合型
- 膵管径 ≥ 10mm
- 明らかな結節や造影効果を伴う病変
- 急激な増大や症状出現
代表的な術式はコチラです。
- 膵頭十二指腸切除術(膵頭部にある場合)
- 膵体尾部切除術(膵体尾部にある場合)
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、IPMNにおいて明確な方法は確立されていませんが、以下の点が予防的に有効と考えられます。
|禁煙
膵臓の炎症/遺伝子変異 リスクを下げる。
|過度な飲酒を控える
膵炎や膵臓負担を抑える。
|バランスの取れた食事
高脂肪/加工食品 を控える。
|定期的な検診
特に家族歴がある人や糖尿病のある人は注意が必要です。
|慢性膵炎/胆石症 の治療
炎症や胆道系の負担を早めに取り除く。
おわりに
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は膵臓内で粘液を分泌する腫瘍が膵管に発生し、悪性化の可能性を持つ前がん病変です。早期発見/適切な管理 により、膵臓がんへの進展を防ぐことが可能な疾患であり、専門医による評価と長期的な監視が鍵となります。