どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia=FD)とは…胃の働きや消化管の異常が明確に確認されないにもかかわらず、胃の不快感や痛みなどの症状が長期間続く病気で、「消化不良症候群」とも呼ばれます。
内視鏡検査や画像診断で胃潰瘍や胃がんなどの明確な病変が見つからない場合に診断されます。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・胃疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、機能性ディスペプシアにおいては完全に解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
|胃の運動機能障害
胃が食べ物を正常に送り出せない(胃の排出障害)や、胃の膨張および収縮機能の異常。
|胃腸の過敏性
胃の神経が過敏になり、通常では問題とならない刺激に対して 痛み/不快感 を感じる。
|ストレス/心理的要因
⇒ストレス・不安・うつ状態 が胃腸の機能に影響を与える。
|ヘリコバクターピロリ感染
一部の患者ではピロリ菌感染が関連している可能性があります。
|生活習慣の影響
- 不規則な食事
- 飲酒
- 喫煙
- カフェイン
上記の摂取過多などが引き金になることがあります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、機能性ディスペプシアにおいて主な症状は以下の通りです。
|胃の痛み/不快感
特に上腹部に感じる。
|食後のもたれ
食べた後に胃が重く感じられる。
|早期満腹感
少量の食事で満腹感を感じる。
|吐き気/胃のむかつき
食欲不振を伴うことが多い。
|げっぷ/胸やけ
消化不良に関連する症状が見られる。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、機能性ディスペプシアにおいては症状の重さに応じて異なりますが、以下のアプローチが一般的です。
|生活習慣の改善
生活習慣の改善
- 規則正しい食事を摂る ※脂肪分/刺激物 の摂取は控える
- 禁煙/禁酒
- 十分な睡眠を確保
|薬物療法
薬物療法
> 消化管運動改善薬
胃の動きを改善する。
※モサプリド など
> プロトンポンプ阻害薬(PPI)
胃酸の分泌を抑える。
> 抗不安薬/抗うつ薬
心理的要因が関与している場合に使用。
|ヘリコバクターピロリ除菌
ヘリコバクターピロリ除菌
感染が確認されたら除菌治療を行う。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、機能性ディスペプシアにおいて以下の策を実践することで発症リスクを低下させることが可能です。
|健康的な食生活
健康的な食生活
よく噛んで食べ 高脂肪/高カロリー の食事を控えて消化の良い食品を選ぶ。
|ピロリ菌検査
ピロリ菌検査
ピロリ菌感染の有無を確認して陽性であれば除菌する。
|ストレスの管理
ストレスの管理
定期的な運動/趣味 でリラックスする時間を設け、必要に応じて心理カウンセリング(認知行動療法 など)を受ける。
|その他
その他
> アルコール/タバコの制限
飲酒を控えて禁煙する。
> 適切な睡眠
十分な睡眠時間を確保して生活リズムを整える。
おわりに
機能性ディスペプシアは慢性的な症状に悩まされることが多いですが、適切な治療と生活改善によって症状を緩和させることが可能です。医師と相談しながら自分に合った治療法を見つけていくことが大切です。