どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
前頭側頭型認知症(ぜんとうそくとうがたにんちしょう:FTD)とは…大脳の前頭葉および側頭葉が萎縮することにより発生する神経変性疾患。他の認知症と比べて、記憶障害よりも行動や言語機能の変化が初期症状として現れるのが特徴です。比較的若い年齢(40~60代)で発症することが多く、全体の認知症の中では5~10%程度を占めます。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・前頭葉疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、FTDにおいては完全に解明されていませんが以下の要因が関与していると考えられています。
|遺伝的要因
FTDの約30~40%は家族歴を伴い、特定の遺伝子変異が関連していることがあります。
※例えば⇒C9ORF72・MAPT・GRN遺伝子 など
|タンパク質異常
タウタンパク質やTDP-43などの異常蓄積が、神経細胞の機能不全を引き起こすことが知られています。
|その他
環境要因やライフスタイル、脳の炎症などが発症に影響する可能性があります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、FTDにおいては脳のどこの部位が影響を受けるかにより異なりますが、大きく以下のように分類されます。
|行動バリアント型(bvFTD)
行動バリアント型(bvFTD)
- 社会的行動の変化 ※例:反社会的行動や共感の欠如
- 衝動的または無関心な行動
- 食行動の変化 ※例:甘いものを過剰に食べる
- 判断力/計画性 の低下
|言語型(PPA:原発性進行性失語)
言語型(PPA:原発性進行性失語)
- 言葉を思い出すのが困難になる ※語彙の減少
- 文法や発音の問題
- 会話の理解や表現の障害
|運動障害を伴うタイプ
運動障害を伴うタイプ
- パーキンソン病に似た運動症状
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)との関連が見られる場合もある
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、現在FTDを完全に治療する方法はありませんが、症状の進行を遅らせたり生活の質を向上させるため以下の方法があります。
|薬物療法
薬物療法
- 衝動性や攻撃性を抑えるための 抗うつ薬/抗精神病薬
- 神経伝達物質を調整する薬
|リハビリテーション
リハビリテーション
> 言語療法
言語能力を 維持/改善 するためのトレーニング。
> 作業療法
日常生活の動作を補助する訓練など。
|心理社会的支援
心理社会的支援
- 家族や介護者への 教育/支援
- デイサービス/グループ療法 による社会的交流の促進
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、FTDにおいては完全に予防する方法はありませんが、以下のような生活習慣がリスク軽減に役立つとされています。
|脳を活性化する活動
脳を活性化する活動
- 読書/パズル/楽器演奏 などの知的活動を継続する
- 社会的交流を増やす
|健康的な生活習慣
健康的な生活習慣
- バランスの取れた食事 ※地中海式食事が推奨される
- 定期的な運動
- 十分な睡眠
|ストレス管理
ストレス管理
瞑想/ヨガ などで心身の健康を保つ。
|定期的な健康診断
定期的な健康診断
糖尿病/高血圧/肥満 などの生活習慣病を管理する。
おわりに
前頭側頭型認知症は本人だけでなく、家族にも大きな影響を及ぼす病気です。早期の診断と適切な対応が重要であり、医療機関や支援団体と連携して対策を講じることが推奨されます。