どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
膵内分泌腫瘍(すいないぶんぴつしゅよう)とは…膵臓に存在する内分泌細胞から発生する腫瘍の一種です。膵臓には外分泌機能(消化酵素の分泌)と内分泌機能(ホルモンの分泌)があり、内分泌細胞は血糖値を調整する インスリン/グルカゴン などのホルモンを分泌します。
膵内分泌腫瘍はホルモンを過剰に分泌する「機能性腫瘍」と、ホルモンを分泌しない「非機能性腫瘍」に分類されます。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・膵臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、膵内分泌腫瘍においては完全には解明されていませんが、以下の要因が関連していると考えられています。
|遺伝的要因
遺伝的要因
遺伝性疾患である「多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)」に関連するケースがあります。MEN1は膵内分泌腫瘍のほか 副甲状腺腺腫/下垂体腺腫 などを引き起こす可能性があります。
|細胞の異常増殖
細胞の異常増殖
膵臓内分泌細胞の異常な増殖が原因で腫瘍が発生します。この異常は、遺伝子の変異や細胞分裂の制御が失われることに起因すると考えられています。
|環境要因+生活習慣
環境要因+生活習慣
具体的な関連性は不明ですが、喫煙や食生活の不摂生が膵臓腫瘍全般のリスクを高める可能性があるとされています。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、膵内分泌腫瘍においては腫瘍の 種類/ホルモンの分泌量 により異なり主な症状は以下になります。
|機能性腫瘍の場合
機能性腫瘍の場合
> インスリノーマ(インスリン過剰分泌)
上腹部や背中に鈍い痛みを感じることがある。
> ガストリノーマ(ガストリン過剰分泌)
嚢胞が 膵臓/消化管 を圧迫する場合に発生。
> グルカゴノーマ(グルカゴン過剰分泌)
膵管や胆管が圧迫されることで 皮膚/眼 が黄色くなる。
> ソマトスタチノーマ/VIPoma
膵炎を伴う場合に見られることがある。
|非機能性腫瘍の場合
非機能性腫瘍の場合
ホルモンを分泌しないため腫瘍が大きくなるまで症状が現れないことが多く、腹痛や腫瘍による⇒圧迫症状・体重減少・転移による症状(例:肝臓転移による黄疸)が見られます。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、膵内分泌腫瘍においては腫瘍の⇒種類・進行度・患者の全身状態 によって異なり以下の方法があります。
|外科手術
外科手術
腫瘍が局所に留まっている場合は、腫瘍の完全切除が最も有効です。
|薬物療法
薬物療法
> ホルモン調整薬
オクトレオチドはホルモン過剰分泌による症状を緩和します。
> 標的治療薬
エベロリムスや化学療法が 進行例/転移例 に用いられます。
|放射線療法/核医学療法
放射線療法/核医学療法
放射性薬剤を用いた、ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)が有効とされる場合もあります。
|サポーティブケア
サポーティブケア
症状緩和や栄養状態の改善を目的とした治療も重要です。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、膵内分泌腫瘍は予防が難しい疾患ですが以下の方法がリスク軽減に役立つ可能性があります。
|生活習慣の改善
喫煙を避けてバランスの取れた食事を摂り、適度な運動を行う。
|遺伝的リスク
家族歴がある場合は遺伝子検査を検討し、定期的な検査を受ける。
|定期健診
無症状でも定期的な健康診断を受けて、膵臓の状態を確認する。
|ストレス管理
ストレスを減らして免疫力を維持する。
おわりに
膵内分泌腫瘍は早期発見が予後に大きく影響するため、リスクを認識し適切なタイミングで医療機関を受診することが重要です。