どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
:この記事は約7分で読めます
どんな病気?
クローン病とは…消化管(主に小腸と大腸)に慢性的な炎症を引き起こす、炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん:Inflammatory Bowel Disease=IBD)の一種です。この病気は腸の壁が部分的または全体的に炎症を起こし、潰瘍や瘢痕組織が形成されます。消化管のどの部分でも発症する可能性がありますが、特に小腸末端(回腸)と大腸が影響を受けやすいです。
クローン病は慢性疾患であり、症状が悪化する「活動期」と症状が軽減する「寛解期」を繰り返します。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・小腸疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、クローン病においては正確な原因は未だ完全に解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
|免疫異常
免疫異常
体の免疫系が腸内細菌や食物成分を誤って攻撃して、炎症を引き起こすと考えられています。
|遺伝的要因
遺伝的要因
家族歴がある場合は発症リスクが高まることが知られています。
※いくつかの遺伝子が関与と示唆されている
|環境要因
環境要因
- 食事(高脂肪/加工食品の摂取)
- 喫煙
- 感染症
- ストレス
上記が発症リスクを高めるとされています。
|腸内細菌叢の変化
腸内細菌叢の変化
腸内細菌のバランスが崩れることで病気の進行に寄与する可能性があります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、クローン病においては炎症の部位や重症度によって異なりますが、以下のような症状が一般的です。
|腹痛
特に右下腹部に痛みを感じることが多いです。
|下痢
慢性的な水様性の下痢が見られます。
|体重減少
栄養吸収障害や食欲減退によるものです。
|発熱
炎症に伴い軽度の発熱が起こることがあります。
|肛門周囲の問題
- 肛門裂
- 膿瘍
- 瘻孔(ろうこう)
上記が発生することがあります。
|倦怠感
慢性の炎症や栄養不足によるものです。
|栄養不足
特定のビタミンやミネラル(鉄/ビタミンB12 など)の欠乏症が見られることがあります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、クローン病においては症状のコントロールと寛解状態の維持が主な目的として含まれ、以下が主な方法です。
|薬物療法
薬物療法
> 抗炎症薬(5-ASA製剤)
軽度の炎症に用いられます。
> ステロイド
急性期の症状緩和に使用されますが長期使用は避けるべきです。
> 免疫抑制剤
炎症を抑えるために使用されます。
> 生物学的製剤
TNF-α阻害剤/抗インテグリン抗体 などが含まれ重症時に効果的です。
|栄養療法
栄養療法
> 完全経腸栄養(EEN)
栄養補助食品/サプリメント による栄養管理であり腸を休ませるために行わる。
|外科治療
外科治療
合併症(瘻孔/腸閉塞 など)が発生した場合や、薬物療法が無効な場合に行われます。
※炎症を起こしている部分を切除する
|生活習慣改善
生活習慣改善
- 禁煙
- ストレス管理
- 適切な食事 ※脂肪分が少ない/消化しやすい
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、クローン病においては明確な方法は確立されていませんが、以下のような健康的な生活習慣がリスク軽減に役立つ可能性があります。
|禁煙
喫煙はクローン病の発症リスクを高めるため禁煙が推奨されます。
|バランスの取れた食生活
- 加工食品
- 高脂肪食品
- 野菜
- 果物
上記を取り入れた食生活を心がけます。
|腸内環境の維持
プロバイオティクス/プレバイオティクス を含む食品を摂取して、腸内細菌のバランスを保つことが重要です。
|ストレス管理
ヨガ/瞑想 あるいは適度な運動を取り入れて、心身のストレスを軽減します。
|感染予防
腸内感染症が腸内環境に影響を与える可能性があるので、衛生状態を保つことが大切です。
おわりに
クローン病は現在の医学で完全に治すことは難しいですが、適切な治療と生活習慣の改善により生活の質を大幅に向上させることが可能です。早期発見と医療機関での適切な診断を心がけましょう。