どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん: Chronic Obstructive Pulmonary Disease=COPD)とは…気道が狭くなり肺の機能が低下することにより呼吸が困難になる病気です。主に以下の2つの病態を含みます。
慢性気管支炎
気管支に慢性的な炎症が生じ、痰や咳が持続的に発生します。
肺気腫
肺の組織が破壊され空気を交換する能力が低下します。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・肺疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、慢性閉塞性肺疾患においては以下の要因がリスクを高めるとされています。
|喫煙
喫煙
最も大きなリスク要因で、COPD患者の約80~90%が喫煙歴を持つとされています。
※タバコの煙が気道や肺に炎症を引き起こす
|職業性曝露
職業性曝露
化学物質や粉じんへの長期的な曝露。
※例:工場労働者や鉱山労働者
|大気汚染
大気汚染
家庭内でのバイオマス燃料(薪や石炭)による調理煙や、都市部の汚染空気の吸入。
|遺伝的要因
遺伝的要因
α1-アンチトリプシン欠乏症など、一部の遺伝的条件がリスクを高める。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、慢性閉塞性肺疾患症状においては徐々に進行し、次のようなものが一般的です。
|慢性的な咳
特に朝方など。
|痰の産生
黄色または白色の粘液。
|息切れ
運動時や進行に伴い安静時でも。
|喘鳴
呼吸時の “ゼイゼイ” 音。
|胸の圧迫感
進行した場合は日常的な活動が困難になり、低酸素血症(血中の酸素濃度低下)や肺高血圧症を引き起こすこともあります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、COPDは完治が難しいですが、進行を抑えて症状を管理するための治療法は以下の通りです。
|生活習慣の改善
生活習慣の改善
> 禁煙
最も重要なステップ。
> 適切な運動
リハビリテーションプログラムを含む。
> 栄養管理
体重を適正範囲に保つ。
|薬物療法
薬物療法
> 吸入薬
気管支を拡げる 長時間作用性β2刺激薬/抗コリン薬。
> 吸入ステロイド薬
炎症を抑える効果がある。
> 経口薬
重症例では ステロイド/抗炎症薬。
|酸素療法
酸素療法
酸素濃縮器を使用して酸素を供給し、低酸素血症を防ぐ。
|手術(進行した場合)
手術(進行した場合)
肺容量縮小術や肺移植などが選択肢になる。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、以下の点に注意することで、COPDのリスクを大幅に低減できます。
|禁煙または喫煙を始めない
タバコの煙は最も大きな原因であり、喫煙しないことが最大の予防策です。
|職場環境の改善
粉じんや化学物質への曝露を最小限に抑え、適切な防護具を使用する。
|空気の質を向上させる
家庭内の換気を良くし、バイオマス燃料の使用を避けて屋外の空気汚染がひどい場合は外出を控える。
|早期の健康管理
咳や息切れなどの症状があれば早めに医師の診断を受ける。
※ワクチン接種(インフルエンザ/肺炎球菌)で感染症を予防
おわりに
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙や環境要因などが主な原因となる進行性の呼吸器疾患です。早期診断と適切な治療が重要であり、特に禁煙が最大の予防および治療法として挙げられます。生活習慣の改善や適切な医療ケアにより、病気の進行を抑え生活の質を向上させることが可能です。