どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
セリアック病とは…小腸に炎症を引き起こす自己免疫疾患であり、遺伝的な要因が関与しています。この病気はグルテン(⇒小麦・大麦・ライ麦 に含まれるタンパク質)を摂取することで発症し、グルテンを摂取すると免疫系が小腸の絨毛(栄養を吸収する役割を持つ細かい突起)を攻撃して栄養の吸収障害を引き起こします。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・小腸疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、セリアック病においては複数の要因が絡み合っており、以下の要因がリスクを高めるとされています。
|遺伝的要因
遺伝的要因
セリアック病は HLA-DQ2/HLA-DQ8 という遺伝子を持つ人に多く見られます。
※必ず発症するわけではない
|環境的要因
環境的要因
グルテンの摂取がセリアック病の発症の引き金となります。また、感染症や腸内細菌のバランスが崩れることも影響を及ぼす可能性があります。
|免疫系の異常
免疫系の異常
グルテン摂取に対して異常な免疫反応を引き起こすことで、小腸の損傷を招きます。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、セリアック病においては個人によって異なり、一般的に以下のような症状が見られます。
|消化器系の症状
消化器系の症状
- 慢性的な下痢/便秘
- 腹痛/腹部膨満感
- 脂肪便 ※油っぽく悪臭のある便
|全身の症状
全身の症状
- 疲労感/倦怠感
- 体重減少
- 鉄欠乏性貧血
- 骨粗しょう症 ※カルシウム吸収障害による
|その他
その他
- 皮膚疾患 ※例:デュルリング疱疹状皮膚炎
- 関節痛
- 不妊症/流産
- 口内炎
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、現在セリアック病を根治する治療法はありませんが、以下の方法で症状を管理できます。
|グルテンフリーの食事
グルテンを完全に避けることで、小腸の炎症を抑えて絨毛の回復を促します。
※これは一生続ける必要があります
|栄養補助
- 鉄分
- カルシウム
- ビタミンD
- B12
栄養不良がある場合は、上記のサプリメントを摂取します。
合併症の治療
骨粗しょう症/貧血 など合併症に応じた治療を行います。
医師のフォローアップ
定期的な 血液検査/診察 で病状を監視して必要に応じ食事療法の調整を行います。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、セリアック病においては遺伝的な要因が関与しており、完全に予防することは困難ですが以下の点に留意することで、リスクを軽減できる可能性があります。
|乳幼児期の食事管理
乳幼児期の食事管理
グルテン含有食品の導入は生後4~6か月の間に行うことが推奨されています。
※遅らせるとリスクが増加する可能性あり
|感染症の管理
感染症の管理
感染症/腸内細菌 のバランスを整えることで腸の健康を保つ努力をすることが重要です。
|定期検査
定期検査
セリアック病の家族歴がある場合は、医師に相談して検査を受けることが推奨されます。
おわりに
セリアック病は正しい診断と管理を行えば症状をコントロールして健康的な生活を送ることが可能です。症状やリスク因子に心当たりがある場合は、医師に相談することをお勧めします。