どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
バッド・キアリ症候群(Budd-Chiari syndrome)とは…肝臓からの血液の流出路(肝静脈/下大静脈)が閉塞または狭窄することにより、肝臓内に血液がうっ滞し、肝機能障害や門脈圧亢進症などを引き起こす疾患です。主に肝静脈血栓症によって生じ、慢性化すると肝硬変に進行することもあります。
比較的まれな病気ですが、適切な診断と治療を行わないと生命に関わる事もあります。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・肝臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、バッド・キアリ症候群においては多くのケースで、血液凝固異常や血栓性疾患が背景にあります。主な原因は以下の通りです。
|骨髄増殖性疾患
- 真性多血症
- 本態性血小板血症
|先天性凝固因子異常
- プロテインC/S欠乏症
- アンチトロンビン欠乏症
|がん
特に肝がんによる血管圧迫や浸潤。
|特発性
原因がはっきりしない。
※全体の約20〜30%
|その他
妊娠/経口避妊薬の使用 などがある。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、バッド・キアリ症候群においては 急性型/慢性型 で異なり、主に以下のような所見が見られます。
|急性型
急性型
- 激しい腹痛(特に右上腹部)
- 腹部膨満感
- 急激な腹水の増加
- 黄疸
- 肝腫大
- 多臓器不全(重症例)
|慢性型
慢性型
- 徐々に進行する腹水貯留
- 下肢浮腫
- 食道静脈瘤出血
- 肝硬変様の症状
- 全身倦怠感/体重減少
慢性型では診断が遅れやすく、進行した段階で見つかることも多くあります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、バッド・キアリ症候群においては 血栓の除去/血流改善/肝機能維持 が基本です。以下の段階的な治療アプローチが推奨されます。
|内科的治療
内科的治療
> 血栓形成の予防
抗凝固療法。(ワルファリン/DOAC)
> 腹水管理
利尿剤/アルブミン など。
> 食道静脈瘤の破裂予防
β遮断薬の服用。
|血管内治療
血管内治療
> 経皮的血管形成術
バルーン拡張+ステント留置 など。
> TIPS
経頸静脈的肝内門脈体循環シャント。
※門脈圧を下げる目的
|外科的治療
外科的治療
> 肝移植
重度の肝不全や再発例では唯一の根治手段となる。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、バッド・キアリ症候群においては明確な予防法はありませんが、以下のようなリスク管理が重要です。
- 血液凝固異常の 早期発見/治療
- 骨髄増殖性疾患の定期検査
- 経口避妊薬やホルモン療法のリスク評価
おわりに
バッド・キアリ症候群は、肝静脈や下大静脈の血流障害によって起こる重篤な肝疾患です。予防には血液疾患の管理やリスク要因の把握が重要であり、特に再発防止の観点から長期的なフォローが求められます。