どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう:Pulmonary Embolism=PE)とは…血栓(血液が固まった塊)が肺の動脈を塞ぐことによって起こる病気です。この閉塞により肺への血流が妨げられ酸素の供給が不足し、場合によっては命に関わることもあります。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・肺疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、肺血栓塞栓症においては体内で形成された血栓が血流に乗って肺の動脈まで運ばれることであり、主に以下の状況で形成されます。
|深部静脈血栓症(DVT)
深部静脈血栓症(DVT)
下肢や骨盤の深部静脈で形成された血栓が原因となります。
|血流の停滞
血流の停滞
長時間の座位(例: 長距離フライト)や寝たきり状態が血流を遅くし、血栓が形成されやすくなります。
|血液の凝固亢進状態
血液の凝固亢進状態
- 手術後
- 妊娠中
- 癌を罹患している
上記のいずれか、又は抗凝固薬の不足によるもの。
|血管内壁の損傷
血管内壁の損傷
- 外傷
- 手術
- 感染症
以上のいずれかが関与することもあります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、肺血栓塞栓症においては現れ方が 血栓の大きさ/閉塞の程度 により異なりますが主な症状は以下の通りです。
|突然の呼吸困難
一般的で深刻な症状です。
|胸痛
深呼吸や咳をすると痛みが増すことがあります。
|咳
血痰が出る場合もあります。
|動悸
心拍が速くなったり不規則になることがあります。
|低酸素症
顔や唇が青白くなることがあります。
|意識障害
血流が大きく阻害されると意識を失う場合があります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、肺血栓塞栓症においては 血栓の除去/新たな血栓の形成 を防ぐことが重要で、以下の方法が用いられます。
|薬物療法
薬物療法
> 抗凝固薬
- ヘパリン
- ワルファリン
- DOAC
血液を“サラサラ”にして新たな血栓を防ぐ。
> 血栓溶解薬
重症例で血栓を速やかに溶解するために使用する。
|手術/カテーテル治療
手術/カテーテル治療
> 血栓除去術
カテーテルを使って血栓を物理的に除去する。
> 肺動脈フィルター(IVCフィルター)
血栓が肺に流れ込むのを防ぐデバイスを挿入。
|酸素療法
酸素療法
低酸素状態を改善するために酸素を補給。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、肺血栓塞栓症においては生活習慣の改善と医療的な対策が重要であり、主な方法は以下の通りです。
|生活習慣の改善
生活習慣の改善
- 飛行機や車での移動中は定期的に立ち上がり足を動かす ※長時間の座位を避ける
- 十分な水分を摂取して脱水を防ぐ
- 適度な運動を取り入れて血流を促進する
|医療的対策
医療的対策
手術後や長期臥床時に弾性ストッキングや圧迫装置を使用し、高リスク患者には予防的に抗凝固薬を投与することも検討する。
|リスク因子の管理
リスク因子の管理
- 肥満
- 喫煙
- 高血圧
- 糖尿病
上記すべての管理を徹底する。血液凝固異常がある場合は定期的な医師の診察を受ける。
おわりに
肺血栓塞栓症は早期発見と治療が生存率を大きく左右します。予防と適切な医療を受けることでリスクを大幅に減らすことができます。