どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)とは…両方の腎臓に多数の液体の詰まった袋(嚢胞)ができる遺伝性の疾患です。嚢胞は年齢とともに大きくなり、正常な腎組織を 圧迫/破壊 していきます。進行すると腎機能が低下し、最終的には慢性腎不全(腎不全)に至ることがあります。
発症年齢は個人差がありますが、多くは30〜50代で症状が明らかになります。
ヤマケンこの記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・腎臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、多発性嚢胞腎においては主に遺伝子変異であり、以下2つの型があります。
|常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)
最も一般的で、PKD1またはPKD2という遺伝子の変異が原因。親のどちらかが患者であれば、子に50%の確率で遺伝します。
|常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)
常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)
まれであり、両親ともに保因者の場合に25%の確率で発症。乳児期や小児期に発見されることが多く、重症です。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、多発性嚢胞腎においては進行とともに現れ、代表的な症状は以下の通りです。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、多発性嚢胞腎においては現時点で根本的に治す方法はありませんが、進行を遅らせることは可能であり以下の治療が行われます。
|対症療法
対症療法
- 高血圧の管理(ACE阻害薬/ARB が第一選択)
- 尿路感染症の治療(抗菌薬)
- 疼痛管理(鎮痛剤/嚢胞ドレナージ)
- 腎結石対策(食事指導/水分摂取)
|進行抑制薬
進行抑制薬
> 凍結療法
バソプレシンV2受容体拮抗薬の服用。
嚢胞の拡大を抑え、腎機能の悪化を遅らせることが確認されています。(副作用に多尿や肝機能障害あり)
|腎不全に対する治療
腎不全に対する治療
- 透析(血液透析/腹膜透析)
- 腎移植
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、多発性嚢胞腎においては遺伝性疾患のため発症自体を防ぐことは困難です。ただし、以下の点により進行の遅延や合併症予防は可能です。
- 遺伝歴がある場合は早期検査(エコー/遺伝子検査)で早期対応
- 高血圧をしっかり管理する
- 塩分制限(6g/日未満推奨)
- 十分な水分摂取でバソプレシン分泌を抑制
- 禁煙/アルコール節制
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の乱用を避ける
- 定期的な腎機能のモニタリング(eGFR/尿蛋白 など)
おわりに
多発性嚢胞腎は進行性の遺伝性腎疾患であり、腎臓に多数の嚢胞が形成されることで腎機能が徐々に損なわれていきます。腎不全に至る前に専門的な管理を受けることで、QOL(生活の質)を大きく保つことが可能です。

