どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)とは…糖尿病によって腎臓の細い血管(糸球体)が障害され、腎機能が徐々に低下する慢性の合併症です。進行すると尿たんぱくが増え、最終的には人工透析や腎移植が必要となる末期腎不全に至ることもあります。日本における透析導入の最大原因でもあります。
ヤマケンこの記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・腎臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、糖尿病性腎症においては高血糖状態が長期間続くことです。これにより腎臓の糸球体の毛細血管が傷つき、濾過機能が障害されていきます。さらに以下の要因がリスクを高めます。
- 高血圧
- 脂質異常症
- 喫煙
- 肥満
- 家族歴(遺伝的要因)
- 長期の糖尿病罹患歴(10年以上)
これらが複合的に関与し、腎臓に慢性的な負担をかけます。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、糖尿病性腎症においては初期にほとんど自覚症状がありません。しかし、進行すると次のような症状が現れます。
- 尿にたんぱくが出る(尿たんぱく陽性)
- むくみ(特に足)
- 倦怠感/息切れ(腎機能低下に伴う)
- 貧血
- 高血圧の悪化
- 食欲低下/吐き気(末期腎不全時)
病状が進行するほど、生活の質が低下しますので注意が必要です。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、糖尿病性腎症において基本は 進行の抑制+腎機能の維持 が目的です。主な治療法は以下の通りです。
|血糖コントロール
血糖コントロール
インスリンやSGLT2阻害薬などの適切な薬剤を使用し、HbA1c 7.0%未満を目安にする。
|血圧管理
血圧管理
130/80 mmHg未満を目指す。ACE阻害薬やARB(腎保護作用あり)が推奨されます。
|食事療法
食事療法
- 塩分制限(6g/日以下)
- たんぱく質制限(病期による)
- カリウム/リン制限(進行時)
|その他
その他
末期時には 透析療法/腎移植 を行います。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、糖尿病性腎症においては以下の点を守ることが重要です。
- 良好な血糖コントロールを継続する
- 定期的な尿検査(尿アルブミン)で早期発見
- 血圧や脂質の管理を徹底する
- バランスの取れた食生活と適度な運動
- 禁煙/節酒
- 定期的に医師の診察を受ける
早期の段階で生活改善を行えば、進行を大きく抑えることができます。
おわりに
糖尿病性腎症は「静かなる進行性疾患」であり、自覚症状が乏しいまま腎不全へと進行する糖尿病の重大な合併症です。 “沈黙の臓器”である腎臓を守る鍵は、日々の地道な自己管理にあります。

