どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
漿液性嚢胞腫瘍(しょうえきせいのうほうしゅよう)とは…主に卵巣や膵臓などにできる液体を含んだ 良性/悪性 腫瘍の一種です。特に卵巣にできるものは「卵巣漿液性腫瘍」と呼ばれ、卵巣腫瘍の中でも頻度が高く、「良性(漿液性嚢胞腺腫)」「境界悪性(境界悪性漿液性腫瘍)」「悪性(漿液性嚢胞腺癌)」の3つに分類されます。
透明感のある漿液(血漿に近い液体)を内部に含む嚢胞状の構造が特徴です。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・膵臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、漿液性嚢胞腫瘍においては明確に断定されていませんが、以下のような複数の因子が関与すると考えられています。
|ホルモンバランスの乱れ
特にエストロゲンの影響により引き起こされる。
|遺伝的要因
BRCA1/2遺伝子変異などがあります。
|排卵回数の多さ
未婚/出産歴なし/排卵抑制薬の不使用 などが関係してきます。
|加齢
30代〜50代の女性に多く見られる。
|慢性的な炎症/環境因子
喫煙や食生活なども関与が疑われています。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、漿液性嚢胞腫瘍においては初期に無症状で経過することが多く、健康診断や婦人科検診で偶然発見される事があります。進行や増大に伴って以下の症状が出る事があります。
- 下腹部の 圧迫感/膨満感
- 不正出血/月経異常
- 排尿/排便 のしづらさ ※腫瘍の圧迫による
- 下腹部痛/腰痛
- 腫瘍破裂時の急激な腹痛 ※稀に起こります
悪性の場合、腹水/体重減少/貧血症状 などが現れることもあります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、漿液性嚢胞腫瘍においては腫瘍の 大きさ/性質(良性or悪性)/年齢/将来の妊娠希望 などによって異なり、以下になります。
|良性腫瘍
良性腫瘍
> 経過観察
腫瘍が小さくて無症状の場合。
> 腫瘍摘出術
腹腔鏡または開腹の術式を用いて行う。
|境界悪性腫瘍
境界悪性腫瘍
> 卵巣の片側切除+経過観察
妊娠希望がある場合は、経過観察を採用する場合もあります。
> 両側卵巣や子宮も含めた広範囲切除
再発予防のため。
|悪性腫瘍(癌)
悪性腫瘍(癌)
- 手術による広範囲切除(子宮/卵巣/リンパ節)
- 抗がん剤(化学療法)
- 状況によっては放射線治療
術後の病理診断により、追加治療の必要性が判断されます。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、漿液性嚢胞腫瘍において完全な方法は確立されていませんが、リスクを下げるための生活習慣や医療的対策は以下の通りです。
|定期的な婦人科検診
年1回の超音波検査や内診など。
|ピル(低用量経口避妊薬)の使用
排卵を抑制して発症リスクを減らす。
|妊娠/授乳歴
卵巣の活動を休める期間があると、リスクは低下します。
|喫煙/肥満の回避
がん全体のリスクを減少させる為に重要です。
|その他
- 遺伝カウンセリング ※家族歴がある場合
- バランスの取れた食事
- 適度な運動
おわりに
漿液性嚢胞腫瘍は、卵巣や膵臓などにできる液体を含む嚢胞状の腫瘍で、良性〜悪性までの広いスペクトラムを持ちます。生活習慣の改善や予防的措置で、発症リスクを抑えることも可能です。