どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
:この記事は約8分で読めます
どんな病気?
ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)とは…先天性心疾患の一つで、心臓の構造異常が4つ同時に存在する疾患です。以下の4つの異常から成り立っています。
心室中隔欠損(VSD)
左右の心室の間に穴があいている。
肺動脈狭窄(PS)
肺へ血液を送る肺動脈が狭くなる。
大動脈騎乗(OA)
大動脈が心室中隔欠損部の上にまたがって位置している。
右心室肥大(RVH)
右心室の筋肉が厚くなる。
これらの異常によって、酸素が十分に含まれていない血液が全身に送り出されるため、チアノーゼ(皮膚や唇が青紫になる)が生じます。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・心臓疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、ファロー四徴症においては直接的な原因は胎児期の心臓の発達異常であり、次のような要因が関連する可能性があります。
|遺伝的要因
21トリソミー(ダウン症)、22q11.2欠失症候群などと関連する。
|母体の健康状態
- 妊娠中の風疹感染
- 糖尿病
- 栄養不良
上記が関連する。
ただし、多くの場合は明確な原因が特定されない。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、ファロー四徴症においては心臓から酸素の少ない血液が体に回ることによって生じる、低酸素症状(チアノーゼ)であり以下になります。
|チアノーゼ
皮膚や口唇の紫色化。
|息切れ/呼吸困難
とくに運動時や泣いた後に起こる。
|ばち指
指先が丸く膨らみ変形する。
|成長障害
体重が増加しにくい。
|しゃがみこむ動作
低酸素を改善しようとする代償行動。
重症度は肺動脈の狭窄具合などによって異なります。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、ファロー四徴症においては以下の通りです。
|一時的治療(症状が重い新生児に対して)
一時的治療(症状が重い新生児に対して)
|ブラロック・トーシグ短絡術(BTシャント)
大動脈と肺動脈を人工血管でつなぐ。
|酸素投与/薬物治療
プロスタグランジン投与など。
|根治手術(通常は生後6ヶ月〜1歳頃)
根治手術(通常は生後6ヶ月〜1歳頃)
- 心室中隔欠損の閉鎖
- 肺動脈狭窄の解除(切除または人工パッチ拡大)
- 必要に応じて大動脈の位置修正
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、ファロー四徴症においては先天性の構造異常であるため、完全な予防は困難ですが、以下の点がリスク軽減につながります。
- 妊娠前の遺伝カウンセリング(家族歴がある場合)
- 妊娠初期の感染予防(風疹ワクチンの接種)
- 妊娠中の 禁煙/禁酒/薬物管理
- 糖尿病や甲状腺疾患などの持病管理
また、出生前に胎児心エコー検査で早期発見が可能な場合もあり、適切な出産/治療準備 ができるようになります。
おわりに
ファロー四徴症は、先天的に心臓の構造に4つの重大な異常をもつ疾患であり、早期発見/外科的治療 によって良好な経過が得られる時代になっています。現代の医療では多くの患者が手術後に学校や職場に復帰し、通常に近い生活を送ることが可能です。ただし、長期的には心機能の評価や合併症の監視が必要であり、成人先天性心疾患専門医との連携も大切です。