どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
舟状骨分裂症(しゅうじょうこつぶんれつしょう)とは…足部の舟状骨(しゅうじょうこつ)と呼ばれる骨の一部が完全に癒合せず、分裂した状態になる疾患です。この分裂した骨片を「副舟状骨」と呼びます。先天的な要因によるものが多く、生まれつき舟状骨の一部が独立した骨として存在するケースがほとんどです。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・短骨疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、舟状骨分裂症においては成長過程において骨が適切に癒合しない事によります。特に以下の要因が関与していると考えられています。
|先天的要因
先天的要因
舟状骨の癒合不全は、遺伝的要因が影響する可能性があります。約10~20%の人に副舟状骨が認められると言われていますが、すべての人が症状を発症するわけではありません。
|過度な負荷
過度な負荷
スポーツや日常生活で、足に過剰な負荷がかかる事で分裂部が刺激され、痛みを引き起こす事があります。特にランニングやジャンプを頻繁に行うスポーツ(サッカー/バスケットボール など)をしている人に多く見られます。
|足の形状
足の形状
扁平足(へんぺいそく)の人は舟状骨への負担が大きくなり、痛みが発生しやすくなります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、舟状骨分裂症においては以下のような特徴が見られます。
|足の内側の痛み
足の内側の痛み
立ち仕事やスポーツ活動中に痛みが発生しやすい。長時間の歩行やランニングで悪化する事がある。
|腫れ/圧痛
腫れ/圧痛
分裂した骨片周囲が炎症を起こし、腫れや圧痛を伴うことがある。
|靴が当たると痛い
靴が当たると痛い
副舟状骨が大きい場合、靴の内側に当たって痛みが生じることがある。
|運動時の不快感
運動時の不快感
足の動きに違和感を覚えたり、疲れやすくなったりする。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、舟状骨分裂症においては症状の程度に応じて、以下のように保存療法(手術をしない治療)と手術療法に分けられます。
|保存療法(軽度~中等度の症状)
保存療法(軽度~中等度の症状)
> 安静と負荷の軽減
痛みがある場合はスポーツを控え、足への負担を軽減する。
> アイシング(冷却療法)
炎症がある場合、患部を氷で冷やすことで腫れや痛みを抑える。
> インソール/足底板
扁平足がある場合、アーチをサポートするインソールを使用する事で、負担を軽減できる。
> 消炎鎮痛剤の使用
痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用する事もある。
> ストレッチ/理学療法
足部のストレッチやリハビリで、負担を分散させる。
|手術療法(重度の症状)
手術療法(重度の症状)
> 副舟状骨の摘出術
分裂した骨片を取り除き、痛みの原因を解消する。
> 骨移植による固定術
分裂部分を癒合させる手術が行われる事もあるが、一般的には摘出術が多い。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、舟状骨分裂症においては完全に防ぐことは難しいが、以下の対策を行うことで発症や悪化を防ぐ事ができる。
|足に合った靴
足に合った靴
アーチサポートのある靴や、クッション性の高い靴を選ぶ。長時間の運動時には適切なシューズを使用する。
|インソールの使用
インソールの使用
扁平足の人は足底アーチを支えるインソールを使用し、舟状骨への負担を軽減する。
|運動+ストレッチ
運動+ストレッチ
足部の柔軟性を保つストレッチを行い、足への負担を分散させる。運動前後のウォームアップとクールダウンをしっかり行う。
|負荷を避ける
負荷を避ける
長時間の激しい運動や、突然の運動量の増加を避ける。疲労が蓄積した状態で無理をしない。
|体重管理
体重管理
過度な体重増加は足への負担を増加させるため、適正体重を維持する。
おわりに
丹状骨分裂症は、先天的に舟状骨が分裂した状態であり、痛みや炎症が生じることがあります。スポーツや扁平足が要因となりやすいため、適切な靴やインソールの使用、ストレッチなどの対策が重要です。日常生活の中で足への負担を意識し、予防に努めることが大切です。