どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)とは…脳や脊髄(中枢神経)から全身に広がる末梢神経が損傷し、正常な機能を果たせなくなる疾患の総称です。
末梢神経は 運動神経+感覚神経+自律神経 の3種類に分類され、それぞれの神経が障害されると 運動機能の低下/感覚異常/自律神経の不調 など、さまざまな症状が現れます。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・感覚神経疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、末梢神経障害においては多岐にわたり主なものは以下の通りです。
|糖尿病(糖尿病性神経障害)
高血糖が長期間続くことで神経が障害される。
|ビタミン不足
特にビタミン B1/B6/B12 の不足が神経障害を引き起こす。
|アルコール依存症
長期的なアルコール摂取は神経の機能を低下させる。
|自己免疫疾患
ギラン-バレー症候群/慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)などの免疫異常が原因となる。
|感染症
ヘルペスウイルス/HIV/ライム病 などが末梢神経に影響を与える。
|薬剤/毒素
抗がん剤/特定の抗生物質/重金属(鉛/水銀 など)が神経を傷害する。
|遺伝的要因
シャルコーマリートゥース病など、遺伝的に発症する疾患もある。
|外傷/圧迫
長時間の圧迫や神経の損傷が原因となる。
※手根管症候群 など
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、末梢神経障害においては害される神経の種類によって異なり、以下の通りです。
|感覚神経の障害
感覚神経の障害
- 痺れ/刺すような痛み/異常感覚
- 感覚鈍麻 ※触れても感じにくい
- 歩行時のふらつき ※深部感覚障害
|運動神経の障害
運動神経の障害
- 筋力低下/筋萎縮
- 麻痺 ※手足が動かしにくい
- こむら返り/けいれん
|自律神経の障害
自律神経の障害
> 立ちくらみ
起立性低血圧と呼ばれる。
> 発汗異常
異常に 汗をかく/汗をかかない
> 胃腸の不調
- 便秘
- 下痢
- 胃のもたれ
> 排尿障害
- 頻尿
- 尿漏れ
- 尿が出にくい
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、末梢神経障害においては原因に応じて異なり主に以下の方法が用いられます。
|原因疾患の治療
原因疾患の治療
> 糖尿病性神経障害
血糖コントロールを徹底する。
> ビタミン欠乏症
ビタミンB群の補給を行う。
> 自己免疫性疾患
ステロイド/免疫抑制剤 を使用する。
|薬物療法
薬物療法
> 疼痛管理(神経障害性疼痛)
- プレガバリン(リリカ)/ガバペンチン ※抗てんかん薬
- SNRI(デュロキセチン など)/TCA(アミトリプチリン など) ※抗うつ薬
- カプサイシン外用薬/麻酔薬を含むクリーム
> 神経再生の補助
メコバラミン ※ビタミンB12製剤
|リハビリテーション/理学療法
リハビリテーション/理学療法
- 運動療法 ※筋力維持/バランス訓練
- 電気刺激療法 ※TENS
- 温熱療法 ※血流改善
|生活習慣の改善
生活習慣の改善
- 禁酒/禁煙
- 規則正しい食生活 ※バランスの取れた食事
- 血糖値/血圧/脂質の管理
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、末梢神経障害においては以下の点に注意することが重要です。
|血糖コントロール(糖尿病予防/管理)
血糖コントロール(糖尿病予防/管理)
適度な運動+食事管理 を行い、血糖値を適正に保つ。
|バランスの取れた食生活維の維持
バランスの取れた食生活維の維持
- ビタミンB群(特に B1/B6/B12)を十分に摂取する ※⇒豚肉・魚・卵・大豆 など
- アルコール摂取を控えめにする
|適度な運動の習慣化
適度な運動の習慣化
ウォーキング/ストレッチ を日常的に行い、血流を改善する。
|神経を圧迫しない生活
神経を圧迫しない生活
- 正しい姿勢を維持して長時間の圧迫を避ける ※正座/寝返り不足 など
- 適切な靴を選び⇒足への負担を減らす
|定期的な健康診断
定期的な健康診断
早期 発見/治療 が重要になり、糖尿病やビタミン不足のリスクがある場合は医師の診察を受ける。
おわりに
末梢神経障害は⇒糖尿病・栄養不足・自己免疫疾患・薬剤・外傷 など、様々な原因で発症する可能性があります。症状としては⇒しびれ・痛み・筋力低下・自律神経の異常 などが挙げられます。治療方法は原因によって異なりますが、適切な管理と生活習慣の改善が重要です。予防には⇒血糖コントロール・栄養管理・運動習慣の維持 が不可欠です。早期発見と適切な治療によって症状の進行を防ぐことが可能ですので、気になる症状があれば早めに医師に相談することをおすすめします。