どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
平滑筋腫(へいかつきんしゅ)とは…平滑筋(内臓や血管の壁を構成する筋肉)から発生する良性腫瘍のことを指します。主に 子宮/消化管/血管 などに発生しやすく、中でも 子宮平滑筋腫(子宮筋腫) は女性に多く見られます。良性腫瘍のため、通常は急激に進行したり悪性化(がん化)することはほとんどありません。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・平滑筋疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、平滑筋腫においては完全に解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
|ホルモンの影響
ホルモンの影響
特に エストロゲン(女性ホルモン) が関与しており、子宮筋腫の場合はエストロゲンの影響で腫瘍が増殖しやすくなります。
※閉経後に縮小する傾向があるのもこのためです
|遺伝的要因
遺伝的要因
家族に平滑筋腫の既往があると発症しやすいことが知られています。
|慢性的な 刺激/炎症
慢性的な 刺激/炎症
子宮や消化管の持続的な刺激や炎症が、細胞の異常増殖を引き起こす可能性があります。
|生活習慣
生活習慣
- 高カロリー/高脂肪 の食事
- 運動不足
- ストレス
上記などがホルモンバランスを乱し、腫瘍の発生を促進する可能性があります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、平滑筋腫においては発生部位によって異なり主な症状は以下の通りです。
|子宮平滑筋腫(子宮筋腫)
子宮平滑筋腫(子宮筋腫)
- 月経過多/月経不順
- 下腹部の 圧迫感/膨満感
- 貧血 ※鉄欠乏性貧血
- 排尿障害 ※頻尿/排尿困難
- 不妊/流産 のリスク増加
|消化管平滑筋腫
消化管平滑筋腫
- 腹痛/腹部膨満感
- 便秘/下痢
- 消化管出血 ※吐血/血便
|血管平滑筋腫
血管平滑筋腫
血流障害による 痛み/腫れ、まれに神経圧迫による痺れ等がおきる。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、平滑筋腫においては 症状の有無/大きさ/発生部位 などを考慮して選択され以下の通りです。
|経過観察
経過観察
小さくて無症状の場合は、定期的な検査(超音波/MRI など)を行いながら経過観察します。
|薬物療法
薬物療法
> ホルモン療法 (GnRHアゴニスト など)
- エストロゲンの分泌を抑制して腫瘍を縮小させる
- 一時的な治療であり根本的な治癒にはならない
> 鎮痛剤/鉄剤(症状緩和目的)
痛み/貧血 の症状を改善するために使用。
|手術療法
手術療法
> 腫瘍摘出術(筋腫核出術)
妊娠希望がある場合や、良性腫瘍の一部を取り除く場合に行われる。
> 子宮全摘出術(子宮筋腫の場合)
症状が重く、他の治療法が効果的でない場合に選択。
※閉経後の女性にも推奨される
> 内視鏡手術(腹腔鏡/子宮鏡)
低侵襲で回復が早い方法として普及している。
|その他
その他
> 子宮動脈塞栓術(UAE)
子宮筋腫の栄養血管を塞ぐことで縮小させる方法。
> 高密度焦点式超音波治療(HIFU)
超音波で腫瘍を焼灼し、縮小させる『新しい治療法』。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、平滑筋腫においては完全な対策が難しいものの、リスクを減らすために以下のような生活習慣の改善が重要です。
|ホルモンバランスを整える
ホルモンバランスを整える
> 規則正しい生活
睡眠不足を避ける。
> ストレス管理
過度なストレスはホルモン分泌を乱す。
> 適度な運動
有酸素運動/ヨガ で代謝を促進。
|食生活の改善
食生活の改善
> 大豆製品(イソフラボン)
適度に摂取する。
※ホルモンバランスを整える効果
> 抗酸化食品(野菜/果物/ナッツ)
細胞の異常増殖を防ぐ。
> 高脂肪/高糖質 の食事を控える
肥満はエストロゲン過剰の原因になる。
|定期検診の受診
定期検診の受診
> 子宮筋腫のスクリーニング
超音波検査/MRI など。
> 消化管/血管 の異常チェック
内視鏡/血管造影 など。
おわりに
平滑筋腫は良性の腫瘍であり、発生部位によって症状や治療方法が異なります。原因としてはホルモンバランスの乱れの他に 遺伝/生活習慣 などが関与しており、特に子宮筋腫はエストロゲンの影響を強く受けます。治療は経過観察もしくは 薬物療法/手術 などがあり、症状や大きさに応じた方法が選択されます。
予防としては⇒生活習慣の改善・ホルモンバランスの維持・定期検診 が重要です。早期発見や適切な治療により、生活の質を維持しながら管理することが可能です。