どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
拘束型心筋症(こうそくがたしんきんしょう)とは…心筋が硬くなり心室の拡張が制限されることで、心臓の機能が低下する疾患です。心筋の弾力性が失われるため、血液を十分に貯めることができずに心拍出量が低下して全身への血流が悪化します。他の心筋症(拡張型/肥大型)と比較すると、心室の形態に大きな変化は無いものの機能的な障害が強く現れます。

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・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・心筋疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、拘束型心筋症においては特発性(原因不明)と二次性(基礎疾患に伴うもの)に分類されます。主な原因は以下の通りです。
|アミロイドーシス
異常なタンパク質(アミロイド)が心筋に沈着して硬化を引き起こす。
|サルコイドーシス
免疫異常により肉芽腫が形成され、心筋の線維化を促進する。
|ヘモクロマトーシス
鉄が異常に蓄積して心筋の機能を障害する。
|膠原病(全身性硬化症 など)
自己免疫反応により心筋が硬化する。
|放射線療法/抗がん剤 の影響
心筋の線維化を引き起こすことがある。
|遺伝的要因
特定の遺伝子異常が関与している可能性がある。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、拘束型心筋症においては初期に自覚症状が乏しいこともありますが、進行すると以下の症状が現れます。
|息切れ(呼吸困難)
特に 運動時/横になると 悪化しやすい。
|全身のむくみ(浮腫)
血液のうっ滞によるもの。
|疲労感/倦怠感
心拍出量の低下により全身への酸素供給が不足するため。
|頻脈/不整脈
心房細動や心室性不整脈が起こりやすい。
|胸痛/動悸
血流の異常による心筋への負担増大。
|肝腫大/腹水
右心系のうっ血により、肝臓が腫れたり腹水が溜まることがある。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、拘束型心筋症に対する特異的な治療法は確立されておらず、主に以下のような対症療法が中心となります。
|薬物療法
薬物療法
> β遮断薬
心拍数を抑制して心臓の負担を軽減。
> 利尿薬
体内の余分な水分を排出し、浮腫/肺うっ血 を軽減。
> 抗不整脈薬
心房細動/心室性不整脈 の予防。
> 抗凝固薬(ワルファリン など)
血栓形成を防いで脳梗塞のリスクを低減。
|心臓デバイス療法
心臓デバイス療法
> ペースメーカー/植込み型除細動器(ICD)
致死的な不整脈の管理。
|外科的治療
外科的治療
> 心臓移植
重症例では唯一の根本的治療となる。
|原因疾患の治療
原因疾患の治療
> アミロイドーシス/ヘモクロマトーシス の管理
疾患特異的な治療を行う。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、拘束型心筋症においては完全な対策が難しく発症リスクを低減するために以下の点が推奨されます。
|基礎疾患の管理
基礎疾患の管理
サルコイドーシス/アミロイドーシス/ヘモクロマトーシス などの早期発見および治療を行う。
|生活習慣の改善
生活習慣の改善
- 塩分/脂質 を控えてバランスの取れた食事を心がける
- 適度な運動を継続して心血管系の健康を維持する
- 禁煙/節酒 を徹底する
|定期的な健康診断
定期的な健康診断
特に家族歴がある場合は、心エコー検査/MRI を含む精密検査を受ける。
おわりに
拘束型心筋症は、心筋の硬化によって心臓の拡張が制限される疾患であり⇒息切れ・むくみ・倦怠感 などの症状を引き起こします。特定の治療法はなく対症療法が中心ですが、重症例では心臓移植が考慮されます。予防としては、基礎疾患の管理/健康的な生活習慣の維持 が重要です。