どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう:hypertrophic cardio myopathy=HCM)とは…心筋(主に左心室の筋肉)が異常に厚くなる疾患です。この肥大によって心臓のポンプ機能が影響を受け、血液を適切に送り出す能力が低下することがあります。また、一部の患者では心室内の血流が制限される「閉塞性肥大型心筋症(HOCM)」を発症し、さらなる循環障害を引き起こします。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・心筋疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、肥大型心筋症においては以下の要因が挙げられます。
|遺伝的要因
遺伝的要因
心筋の収縮に関与するタンパク質をコードする遺伝子(MYH7/MYBPC3 など)に変異があると、心筋細胞が異常に増殖して肥大します。この疾患は常染色体優性遺伝の形式をとるため、親がHCMの場合は、その子供も発症する可能性があります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、HCMにおいては患者によって異なり無症状のこともありますが、主に以下のような症状が現れます。
|息切れ
運動時/安静時 に呼吸が苦しくなる。
|胸痛
狭心症のような痛み。
|動悸
不整脈による心拍の乱れ。
|めまい/失神
血流不足による意識の消失。
|突然死
特に若年層のアスリートにおいて、運動中に発生することがある。
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、HCMにおいては 症状の重症度/合併症の有無 によって異なり、主な治療法は以下の通りです。
|薬物療法
薬物療法
> β遮断薬
心拍数を抑えて心臓の負担を軽減。
> カルシウム拮抗薬
心筋の収縮を調整して血流を改善。
> 抗不整脈薬
心拍リズムを安定化にする。
|非薬物療法
非薬物療法
> カテーテルアブレーション
不整脈を引き起こす異常な電気信号の経路を焼灼。
> 心臓ペースメーカー/植込み型除細動器(ICD)
致死性不整脈を予防する。
|外科的治療
外科的治療
> 心筋切除術(筋切除術)
厚くなった心筋の一部を外科的に除去する。
> 経皮的アルコール中隔焼灼術
アルコールを注入して肥大した心筋の一部を壊死させる。
|生活習慣の管理
生活習慣の管理
> 過度な運動の制限
特に激しいスポーツはリスクが高い。
> 塩分/アルコール の摂取制限
心臓への負担を減らす。
> ストレス管理
交感神経の過剰な刺激を防ぐ。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、HCMは主に遺伝性の疾患であるため完全に予防することは難しいですが、以下の対策を取ることでリスクを軽減できます。
|家族歴の確認/遺伝子検査
家族歴の確認/遺伝子検査
家族にHCM患者がいる場合は、心臓の定期検査や遺伝子検査を受ける。
|心臓検査の定期的な受診
心臓検査の定期的な受診
エコー検査や心電図検査を定期的に受けて、早期発見に努める。
|適度な運動/健康的な生活習慣
適度な運動/健康的な生活習慣
- 激しい運動は避けて適度な有酸素運動を行う
- 高血圧/肥満 にならないように食生活を管理する
|ストレス管理/十分な休息
ストレス管理/十分な休息
精神的/肉体的 ストレスを減らして自律神経のバランスを保つ。
おわりに
肥大型心筋症は遺伝的要因が主な原因であり、心筋の異常な肥大が血流障害や不整脈を引き起こす疾患です。症状が軽い場合もあれば突然死のリスクを伴う場合もあるため、早期発見と適切な治療が重要です。定期的な心臓検査や生活習慣の改善を心がけることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。