どうも、担当者のヤマケンです→今回の疾病はいったいどのような病態なのでしょうか?それでは皆さん、御一緒に診ていきましょう。
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どんな病気?
過活動膀胱(かかつどうぼうこう:Over Active Bladder=OAB)とは…膀胱の機能異常により尿意を我慢できず突然排尿がしたくなる、「尿意切迫感」を主症状とする病気です。これには⇒頻尿(昼間の排尿回数が多い)・夜間頻尿(夜間に何度も起きて排尿する)・切迫性尿失禁(急な尿意を感じてトイレに間に合わず漏れてしまう) などの症状が含まれます。
生活の質(QOL)に大きな影響を与えるため、適切な診断と治療が重要です。

この記事は次のような人におすすめ!
・身体の不調で当てはまりそうな病気を探している
・膀胱疾患について勉強している
・知的好奇心が旺盛
1.原因


原因とは…病気の発症メカニズム(病因論)の中でその役割が科学的に証明されることで認識され、複数の要因が相互に影響し合って病気を引き起こす場合もあり、それは 誘因/危険因子 として区別され「その疾患を成立させるために必要で且つ十分な条件」と定義できます。
以上を踏まえると、過活動膀胱においては完全に解明されていませんが以下の要因が関与していると考えられています。
|膀胱の神経過敏
膀胱に尿が少し溜まっただけで、神経が過剰に反応して排尿反射が起こることがあります。
|加齢による 筋肉/神経 の変化
高齢になると膀胱筋肉や神経の働きが変化して、過活動膀胱が発生しやすくなります。
|膀胱や尿道の異常
膀胱炎や前立腺肥大など、膀胱や尿道の疾患が影響することがあります。
|生活習慣やストレス
カフェイン/アルコール の過剰摂取、もしくはストレスが神経の過敏性を高める場合もあります。
|神経疾患
パーキンソン病/脳卒中 あるいは、脊髄損傷などの神経系疾患が原因となることがあります。
2.症状


症状とは…患者自身が主観的に認識する身体的または精神的な異常のことを指し、これは医療者が観察可能な徴候(しるし)と区別され⇒痛み・疲労・吐き気・不安 など、患者の自覚に基づく訴えが中心です。
症状は病気の診断や治療方針の決定において重要な情報源であり、患者と医療者のコミュニケーションを通じて初めて明らかになる点が特徴で、過活動膀胱においては以下が一般的です。
|尿意切迫感
突然の強い尿意を感じて我慢が難しい。
|頻尿
日中の排尿回数が通常より多くなる。
※一般的に1日/8回以上
|夜間頻尿
夜間に1回以上排尿のために起きる。
|切迫性尿失禁
急な尿意によりトイレに間に合わず、尿が漏れることがある。
※必ずしも全員に見られるわけではない
3.治療


治療とは…病気やケガなどの健康状態の異常を 改善/回復 させることを目的として行われる行為や介入を指し、具体的には⇒薬物療法・手術・リハビリテーション・心理的支援 などの方法が含まれ、症状の軽減/原因の除去/生活の質向上 を目指します。
治療の本質は科学的根拠に基づき、患者個々の状況に応じた最適な介入を選択することにあり、過活動膀胱においては主に以下の方法で行われます。
|薬物療法
薬物療法
> 抗コリン薬
膀胱の過剰な収縮を抑える。
> β3アドレナリン受容体作動薬
膀胱をリラックスさせる。
|生活習慣の改善
生活習慣の改善
- カフェイン/アルコール の摂取を控える
- 適切な水分摂取量を守る ※過剰な水分摂取を避ける
- 排尿習慣を整える ※排尿日誌をつける
|骨盤底筋訓練(ケーゲル体操)
骨盤底筋訓練(ケーゲル体操)
骨盤底筋を鍛えることで膀胱のコントロールを改善する。
|行動療法
行動療法
排尿スケジュールを決め、トイレの回数を管理する「膀胱訓練」が効果的です。
|外科的治療(重症例の場合)
外科的治療(重症例の場合)
神経調節療法(電気刺激療法)や、膀胱容量を増やす手術が検討されることもあります。
4.予防


予防とは…病気が発生する前にそのリスクを減少させる、または病気の進行を抑制し健康を維持するための 行動/介入 を指し、これには⇒一次予防(発症の防止)・二次予防(早期発見と治療)・三次予防(病状の悪化防止)が含まれます。
予防は個人の行動+社会環境+医療介入 の三位一体で行われるものであり、過活動膀胱においては以下のポイントに留意することが有効です。
|適切な水分管理
適切な水分管理
過剰な水分摂取を避けて適度な量を摂る。
|刺激物の制限
刺激物の制限
カフェインやアルコールなどの摂取を控える。
|排尿習慣の見直し
排尿習慣の見直し
定期的にトイレに行く習慣をつける。
※我慢しすぎない事
|骨盤底筋の強化
骨盤底筋の強化
ケーゲル体操などを日常的に行い、骨盤底筋を鍛える。
|ストレス管理
ストレス管理
リラクゼーションや適度な運動でストレスを軽減する。
|定期検診
定期検診
泌尿器系の疾患や糖尿病などの全身疾患を、早期に発見して適切に治療する。
おわりに
過活動膀胱は生活の質に深刻な影響を与える病気ですが、早期診断と適切な治療や、日常生活の工夫によって症状を改善できます。気になる症状がある場合は、早めに医療機関で相談しましょう。